戦争アクション映画は、得てして「反戦映画」になります。
戦争がどれだけ不条理なのかを疑似体感できるからです。
そんな反戦映画は、これまでもたくさんありました。
でも、今回観た「シビル・ウォー アメリカ最後の日」(以下「シビルウォー」)は、これまでの反戦映画の中でも、最高のメッセージ性があるんじゃないかな・・・・
観客に与えられる情報は、以下のものだけ。
- 合衆国から離脱したテキサスとカリフォルニアの同盟による19の州からなる西部勢力と政府軍の間で内戦が勃発した。
- 戦場カメラマンのリーと記者のジョエルが、14ヶ月一度も取材を受けていない大統領への単独インタビューの特ダネを狙ってワシントンDCに向かっている。
内戦に至る経緯や反乱軍の実態は、登場人物の会話や報道の断片から推測するしかありません。
あちこちで煙が立ち上り、戦闘や拷問、処刑などの陰惨な現実が繰り広げられて、画面には血生臭い世界が広がっています。
だから、観客はリーたち記者と一緒に、出会った人物の素性や所属などが全く分からないピリピリした緊張感を体感することになります。
まるで本当の戦場にいるかのように、片時も息が抜けません。
戦場体験はが迫真めいたものになったのは、音響の影響が大きかったですね。
銃撃音や爆発音、ヘリコプターのローター音が響き渡る場面では、そのたびに度肝が抜かれて恐怖を覚えました。
銃撃や爆発が近づいてくるにつれて、戦場の生々しさが否応にも感じられます。
( ↑ 音響の良い映画館で観るのがオススメ)
ただ、これまでの戦争映画にあるような、タフガイヒーローは出ません。
全編、ジャーナリストの視点で暴力の臨場感を表現した映画で、戦場の倫理について一切の価値判断をしていません。
とにかく観客に戦場を体験させることをテーマにした作品だと感じました。
だからこそ、メッセージ性が高い反戦映画だな、と思います。
こんな時代だからこそ、観ておくべき映画と言えます(キッパリ!)。